整体法とは、野口晴哉氏(1911~1976)が創始した、
人が自分の持っている力を発揮して生きるための方法であり、
創始者の名前を取って「野口整体」と呼ばれています。
体と心を一つのものとして捉えた「活き活きと生を全うする」ための
人間研究であり、整体操法(整体法による身体調整)の他、
愉気法、活元運動、体癖論、潜在意識教育、などの独自の体系から構成されます。
整体法の大きな特徴の一つが「気」の概念に基づいて体や人を観ることです。
「気」と言うと、何か怪しげなものと思われるかもしれませんが、
日本語には“天気””気配“”気張る“等、「気」のつく言葉が多くあり、
実体として見えなくても誰もが感じています。
人間は、物質的には細胞の集まりであり、骨や筋肉、臓器の塊ですが、
それらをひとまとまりの“人”として繋げているのが「気」だと言えます。
人は物質の集合体として生きているのではなく、
その人固有の方向性を持つ気によって体と心が繋がって動いています。
同じお酒でも接待の席と飲み会では酔い方が違ったり、
やる気の有る無しで疲れ方が変わるのはそのためです。
また、整体法では体と心を一つのものと捉えています。
体と心は常に連動しており、互いに影響しあっています。
“がっかりして肩を落とす”のは心の動きが体の動きに表れたものですし、
“悲しくて胸がつまる”と言いますが、胸の肋骨の間の詰まっていると
悲観的になりやすくなります。
体と心は生きている人間の両側面であり、
分けて考えたり治療したりすることは却って不自然です。
ストレスが体に影響することはよく知られるようになりましたが、
逆に、体が整って快適になると、心も自然と穏やかになります。
整体法では、「気」を介して個々人の体の特性を観て、
モノとしての体ではなく、体と心を持って日々生活している人間に働きかけます。
それは、歪みや捻れのない真っ直ぐな体にするためでも、
病気や不調を全く無くすためでもありません。
どの人の中にもある、生きようとする力を十分に発揮して生きること、
自分の力で健康を育て、保つことを目指しています。